濁川温泉


 作者が濁川温泉の存在を知ったのは、TMS誌の記事(二井義雄、木曽森林鉄道を行く 2.濁川廃線跡、鉄道模型趣味 1969年9月号(No.255)、機芸出版社)でした。その記事では、崩壊し始めた木造トラスの写真が衝撃的でしたが、あわせて文章だけで紹介されていた温泉の存在が印象に残りました。いつか訪れてみよう、と思いながら、ようやくそれを実現したのは1980年の9月のこと。
 しかし、その4年後、濁川温泉は長野県西部地震によって発生した土石流によって、多くの人命とともに失われてしまいました。亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、本ページによって在りし日の濁川温泉の姿を少しでも残しておきたいと願うものです。(撮影:1980年9月)
 参考: 濁川温泉への道
photo 林道から濁川温泉への入口。「これより20分」は、ほとんど垂直と思える崖を河床まで一気に降りることになる。
photo 崖を降りると木の間に温泉宿が現れた。結構大きな建物である。
photo 宿の中も広くかなりの人数が泊まれる。湯治宿といった趣である。天井に電球が見えるが、客の多いときには発電機を使ったのだろう。ただし、この日泊まった客は私一人だった。週末は客が多くなるとのことだったが。
photo 別の角度から見た濁川温泉。手前は半露天の風呂と本館(?) からの通路。奥はご主人の住家だったのだろうか? 電気も電話も無く下界と隔絶した世界である。
photo 河原の際に作られた風呂。風呂は1間四方くらい、その名のとおり10cm沈むと手が見えなくなるほど濁ったお湯をたたえていた。日暮れ後は石油ランプを持って入浴する。
photo 濁川の河原から温泉を望む。
photo 濁川。だいぶガレている。温泉のため魚影はない。






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